ドローンレーザー測量の活用場面
航空レーザー測量との違いと特徴

ドローンのレーザー測量とは?航空レーザー測量との違い・メリットを解説

ドローンレーザー測量は、植生に覆われた地形や中小規模エリアにおいて、地表面の三次元データを取得したい場合に有効とされる測量手法です。

写真測量では把握が難しい地盤高の取得にも対応しやすい特性があり、山林や高低差の大きい現場、造成計画前の現況把握などで活用されることがあります。

一方で、広域を一括で取得する場合には航空レーザー測量が適するケースもあり、対象面積や求められる精度、取得データの用途によって選択肢は異なります。

そのため、単に機材の違いで判断するのではなく、現場条件と活用目的を整理したうえで手法を選ぶことが大切です。

こちらでは、それぞれの違いや活用場面を整理し、現場条件に応じた測量方法の考え方を解説します。

ドローンレーザー測量とは|仕組みと写真測量との違い

地上に置かれたプロ級のドローン

ドローンレーザー測量は、LiDAR(レーザー測距技術)センサーを搭載したドローンから照射したレーザーパルスで地形を計測し、三次元点群データとして取得する手法です。

まずは基本的な計測の仕組みと、取得できるデータの種類・活用方法を整理します。

レーザーパルスで植生の隙間から地表面を計測する仕組み

ドローンレーザー測量では、UAV(無人航空機)に搭載したLiDARセンサーから1秒間に数十万発以上のレーザーパルスを照射し、反射波が戻るまでの時間差から距離を算出します。

その中でも注目されるのが「マルチリターン」と呼ばれる特性です。

ひとつのレーザーパルスが、樹冠・枝葉・地表面などで複数回反射した情報を個別に記録できるため、植生の高さと地盤高を分離して取得できます。これにより、山林や草地のように視認できない地表面も三次元データとして再現しやすくなります。

飛行高度や飛行速度、スキャン周波数を調整し、造成設計や法面解析など用途に応じた点密度となるよう飛行条件を設定できます。

取得した点群データから地表面モデル(DEM)を作成する流れ

取得した点群データは専用ソフトウェアで解析し、植生や構造物などの非地表面点を分類・除去して地表面の反射点(グラウンドポイント)を抽出します。

抽出したグラウンドポイントから生成されるDEMは、造成計画・土量算出・排水計画・法面安定検討などの基礎データとして活用されています。

切土・盛土量の算出では、現況DEMと設計モデルを重ね合わせた比較から数量を算定できるため、測量段階での点密度や標高精度の設計が重要になります。

写真測量との違いと植生下データ取得の特性

写真測量(フォトグラメトリ)は、複数枚の画像から三次元形状を復元する手法です。舗装面や裸地のように地表が露出している環境では高精度な三次元モデルを生成しやすいです。

一方で、樹冠に覆われた地形では地面が視認できないため、復元される三次元データは地表面ではなく、樹木上部の表面形状となる傾向があります。

レーザー測量は、植生の隙間を通過した反射データを活用できる点が大きな違いです。

ただし、植生密度や地形条件によって取得状況は異なるため、現地条件に応じた飛行計画やデータ解析が求められます。

ドローンレーザー測量と航空レーザー測量の違い

高層ビルが立ち並ぶ都会の風景

レーザー測量には、ドローンを用いるレーザー測量と、航空機を用いる航空レーザー測量があります。両者は同じLiDAR技術を用いますが、違いは「対象規模」「点密度」「機動性」に集約されます。

以下の表で主な違いを整理します。

項目 ドローンレーザー測量 航空レーザー測量
対象面積 数ヘクタール~数十ヘクタール規模 数十~数百平方キロメートル規模
飛行高度 数十m~150m程度 数百m~数千m程度
点密度 数十~数百点/平方メートル 数点~数十点/平方メートル(仕様による)
機動性 小回りが利きやすい 広域一括取得向き
向いている用途 中小規模・高精度 広域地形把握

上記の高度や点密度は、機材仕様や案件条件によって異なります。

対象面積と最低発注規模が異なる

航空レーザー測量は広域を対象とすることを前提としており、自治体単位の地形データ整備など大規模案件に適しています。

一方、ドローンレーザー測量は中小規模現場に対応しやすい特徴があります。小規模案件では、航空機を使用するコストや最低発注規模の条件が負担になるケースも少なくありません。

その点、ドローンは機動的に運用できるため、対象範囲が限定される現場での導入に適しているといえます。

飛行高度と点密度の違いが精度に影響する

航空レーザー測量は高高度からの計測となるため、広域の地形把握には適していますが、微地形の詳細把握には十分でない場合もあります。

一方、ドローンレーザー測量では低高度から高密度なデータを取得できるケースが多く、法面の細かな変状や小規模構造物の把握に適します。

対象面積・必要精度・成果物仕様を整理したうえで、適切な手法の選択が重要です。

小規模・急傾斜地では機動性に差が出る

ドローンは離着陸場所を確保できれば現場近くで運用できるため、山間部や急傾斜地でも対応しやすい特徴があります。

航空機の場合、飛行計画や航路制限の影響を受けて、即応性の面で差が生じることもあります。

特に限定された区域のみを詳細に把握したい場合には、ドローンの機動性が活きる場面といえます。

ドローンレーザー測量のメリットと活用場面

ドローンレーザー測量は、地表面の把握が難しい条件下でも三次元地形データを取得できる点に特徴があります。こちらでは、実務上の観点から具体的なメリットと活用場面を整理します。

植生が繁茂した地形でも地表面を把握できる

レーザー測量では、複数反射情報の解析により植生上部と地表面を分離できます。これにより、樹木に覆われた地形でも、地面の標高データを抽出しやすくなります。

例えば、以下のような場面で有効です。

  • 山林内の現況測量
  • 造成前の地形確認
  • 既存擁壁周辺の地形把握
  • 土砂災害リスク検討のための地形解析

写真測量では、地表面ではなく植生上部の形状がデータとして復元されることがあります。レーザー測量であれば地表面を反映したDEMを生成しやすいため、等高線作成や断面解析に活用しやすくなります。

斜面や立入困難地でも作業者の立入リスクを抑えながら測量できる

急傾斜地や法面、崩落リスクのある斜面では、従来の地上測量は作業負担や安全リスクが伴います。

ドローンレーザー測量であれば、測量者が直接立ち入ることなく、上空から地形データを取得できます。

具体的には、次のような地形で活用されます。

  • 谷部を含む複雑地形
  • 足場設置が困難な斜面
  • 崩落履歴のある区域

また、地上設置型スキャナと比較した場合、広範囲を短時間でカバーできる点もメリットです。測量範囲が限定される場合には、機動的な飛行計画により、必要なエリアのみを効率的に取得できます。

三次元地形データを設計や土量計算に活用できる

ドローンレーザー測量で取得した三次元点群データは、単なる測量成果ではなく、その後の設計・施工・維持管理フェーズに活用されます。

造成前後のDEM比較による土量算出、縦横断図作成、BIM/CIM連携など、多用途への展開が可能です。

ただし、土量計算や設計基盤として使用する場合、求められる標高精度や点密度、座標補正方法を事前に整理しておく必要があります。

飛行計画や基準点設計を含めて精度管理を行うことで、再測量や数量誤差のリスクを抑えられます。

DSM合同会社では、測量士や地理空間情報専門技術(写真測量1級)、一等および二等無人航空機操縦士の資格を保有するスタッフが、計測から飛行設計・解析処理まで一貫して対応しています。

設計用途や精度基準が未整理の場合でも、現場条件を確認したうえで最適な取得方法をご提案します。

ドローンレーザー測量のご依頼ならDSM合同会社へ

ドローンレーザー測量は、植生下の地表面把握や中小規模エリアの計測に適した測量手法です。一方で、広域を一括で取得する場合には航空レーザー測量が適するケースもあります。

対象面積や地形条件、求められる精度、設計用途などを整理したうえで手法を選択することが大切です。

飛行高度や点密度、基準点管理、解析処理までを含めて検討することで、実務で活用しやすいデータにつながります。

DSM合同会社では、取得目的に応じた計測設計から解析処理まで一貫して対応しています。

全国からのご相談も承っていますので、測量方法の選定や取得条件で迷われている方は、ぜひお問い合わせください。用途に応じた取得方法と精度設計の方向性をご案内します。

ドローンによる測量・点検・空撮に関するコラム